「30分睡眠」は真似していい?ショートスリーパーの本当のところを医療現場の目線で解説

睡眠

最近、「ショートスリーパー」という言葉をよく見かけます。若い人の流行を調べたLINEリサーチの調査(2026年9月)でも、ショートスリーパーとして知られる人物の名前が初めてランキング入りしました。

「1日30分しか寝ない」「睡眠を削れば人生が倍になる」。そう聞くと、ちょっと試してみたくなりますよね。

結論から書きます。

  • 生まれつき短い睡眠で平気な人は、いることはいます。ただし、とても少ないです。
  • 普通の人が睡眠を削ると、自分では気づかないうちに、頭の働きが落ちていきます。
  • 真似をする前に、この記事の最後にある「眠気のチェック」をやってみてください。

ショートスリーパーは本当にいる?

います。2009年に、アメリカの研究チームが「短い睡眠でも元気に過ごせる親子」を調べ、ある遺伝子の変化を見つけました。その後も、似た体質に関わる遺伝子がいくつか報告されています。

ただし、こうした体質の人はごく少数です。「訓練すればショートスリーパーになれる」と科学的に確かめられた方法は、今のところありません。

つまり、「あの人が平気だから自分も平気」とは言えない、ということです。

普通の人が睡眠を削ると何が起きる?

有名な実験があります。健康な大人に、毎晩6時間の睡眠を2週間続けてもらったところ、注意力や反応の速さが、徹夜を1~2晩したときと同じくらいまで落ちました。

怖いのはここからです。本人たちは「少し眠いけど、だいたい大丈夫」と感じていました。頭の働きは落ちているのに、本人はそれに気づきにくいのです。

睡眠不足が続くと、ほかにもこんなことが起きやすくなります。

  • イライラしやすい、気分が落ち込みやすい
  • 甘いものや脂っこいものが欲しくなる
  • 風邪をひきやすくなる
  • 運転や仕事でのうっかりミスが増える

医療の現場でも、夜勤明けなど睡眠が足りないときほど、確認を重ねることが大切だとされています。「眠いときの自分は信用しない」くらいがちょうどいいのかもしれません。

じゃあ、何時間寝ればいい?

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、大人は6時間以上を目安にすることがすすめられています。

ただ、必要な睡眠時間には個人差があります。時間よりも大事なのは、「日中に眠気で困っていないか」です。

眠気のチェック(あてはまる数を数えてみてください)

  1. 会議や授業中に、気づくと寝ている
  2. 休日は平日より2時間以上長く寝てしまう
  3. 午後になると頭がぼーっとする
  4. カフェインがないと仕事にならない
  5. 電車で座るとすぐ眠ってしまう

2つ以上あてはまるなら、睡眠が足りていないサインかもしれません。睡眠を削る前に、まずは今の睡眠を少し増やしてみるのがおすすめです。

いびきが大きい、寝ても寝ても眠い、という場合は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていることもあります。気になるときは、かかりつけ医や睡眠外来に相談してください。

関連記事

まとめ

  • 短い睡眠で平気な体質の人はいるが、ごく少数
  • 普通の人が睡眠を削ると、本人が気づかないまま頭の働きが落ちる
  • 大人は6時間以上が目安。大事なのは「日中に眠くないか」
  • 真似をする前に、まず眠気のチェックを

「時間がほしいから睡眠を削る」より、「よく寝て、起きている時間の質を上げる」ほうが、結果的にできることは増えると思います。


参考にした資料

  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
  • He Y, et al. “The transcriptional repressor DEC2 regulates sleep length in mammals.” Science, 2009.
  • Van Dongen HP, et al. “The cumulative cost of additional wakefulness.” Sleep, 2003.
  • LINEリサーチ「若年層の流行に関する定点調査(2026年9月)」

※この記事は、一般的な情報をまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました