睡眠負債とは?症状と、寝だめで返せない理由・解消のしかた

睡眠負債とは?寝だめで返せない理由 睡眠

「平日は6時間くらい寝てるし、週末に寝だめしてるから大丈夫」。そう思っている人は多いかもしれません。

でも、毎日の少しずつの寝不足は、借金のように積み重なっていきます。これが「睡眠負債」です。しかも研究では、週末の寝だめだけでは、その借金を返しきれないことが分かってきました。

結論から書きます。

  • 睡眠負債は、毎日少しずつ足りない睡眠がたまった状態。本人は「慣れた」と感じていても、集中力や判断力は落ちていることがあります。
  • 週末の寝だめで取り戻せるのは一部だけ。体内時計もずれて、月曜がつらくなります。
  • 返すコツは、「毎晩15〜30分早く寝る」を続けること。足りない日は、午後の早い時間に短い昼寝で補います。

睡眠負債とは?意味と症状

睡眠負債は、体に必要な睡眠時間に対して、実際の睡眠が足りない状態が何日も続き、その不足分がたまっていくことを表す言葉です。2017年ごろからテレビや本で広く知られるようになりました。医学の病名ではありませんが、研究の世界では「慢性的な睡眠不足」として調べられてきました。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、大人はおおむね6時間以上を目安にしつつ、人によって必要な睡眠時間は違うこと、そして「よく休めた」という感覚(睡眠休養感)が大切だとしています。

睡眠負債がたまっているときに出やすいサインは、次のようなものです。

  • 午前中から眠い、会議や授業中にうとうとする
  • 集中が続かない、ケアレスミスが増える
  • イライラしやすい、気分が沈みやすい
  • 休日になると、いつもより2時間以上長く寝てしまう
  • 甘いものや夜食がほしくなる

「慣れた」は危ない:気づかないうちに下がっている

有名な研究があります。2003年、米国の研究チームが、健康な大人に2週間、毎晩6時間だけ寝てもらい、注意力のテストを続けました。すると、日を追うごとに成績が下がり、2週間後には一晩まったく寝なかった人と同じくらいのミスをするようになりました。

ところが本人たちは、「少し眠いけど、もう慣れた」と感じていました。眠気の自己評価は、途中からあまり悪くならなかったのです。

つまり睡眠負債のこわいところは、自分では気づきにくいことです。「平気」だと思っていても、実際のパフォーマンスは落ちているかもしれません。

寝だめで返せない理由

2019年に学術誌 Current Biology に出た研究では、若い健康な大人に、平日は5時間睡眠、週末は好きなだけ寝てもらう生活をくり返してもらいました。結果は次のとおりです。

分かったこと内容
返せた睡眠は一部だけ週末に長く寝ても、平日に足りなかった分は埋まりきらなかった
体への影響は残った寝だめをしても、血糖を下げるホルモン(インスリン)の効きが悪くなった
体内時計がずれた週末に遅くまで寝ることで、月曜の朝に体はまだ「夜」の状態になった

研究者は、睡眠不足が週に1〜2晩だけなら、週末の睡眠で補える可能性もあると話しています。ただ、毎日の寝不足を、週末にまとめて返すというやり方は、思ったほど効かないということです。

休日の寝坊で体内時計がずれる「社会的時差ボケ」については、こちらで詳しくまとめています。

→ あわせて読みたい:月曜がだるい理由は休日の寝だめ?社会的時差ボケの症状と対策

睡眠負債の解消のしかた

1. 「毎晩15〜30分早く寝る」を続ける

いきなり1時間早く寝ようとしても、眠くならずに寝床で悶々としがちです。まずは15〜30分だけ早く寝床に入り、それを1〜2週間続けます。少しずつ返すほうが、体内時計を崩さずに済みます。

2. 起きる時間は、休日も大きくずらさない

休日に長く寝たいときは、朝を遅くするより、前の晩に早く寝るほうがおすすめです。起きる時間は、平日から1〜2時間以内にとどめましょう。

3. 昼寝は「午後の早い時間に短く」

どうしても眠い日は、昼寝で補います。午後3時ごろまでに、20〜30分ほどにしておくと、夜の眠りに響きにくくなります。長すぎる昼寝や夕方の昼寝は、夜の寝つきを悪くします。

4. 寝る前の1時間を「減速の時間」にする

睡眠時間を増やすには、寝る時間を守れる仕組みが必要です。寝る1時間前にはスマホの通知を切る、部屋を暗めにする、お風呂は寝る1〜2時間前に済ませる、など、毎晩同じ流れを作ると眠りに入りやすくなります。

5. 自分に必要な睡眠時間を知る

長い休みのときに、目覚ましなしで何時間眠るかを数日見てみると、自分に必要な睡眠時間の目安が分かります。それが平日の睡眠より大きく長いなら、ふだんから睡眠負債がたまっているサインです。

寝ても取れないときは、相談を

睡眠時間を増やしても、日中の強い眠気やだるさが取れないときは、睡眠負債ではなく、ほかの原因が隠れていることがあります。

  • ☐ 大きないびきや、寝ている間に息が止まると言われた
  • ☐ 7〜8時間寝ても、日中に耐えられないほど眠い
  • ☐ 寝つけない・夜中に何度も目が覚める状態が1か月以上続く
  • ☐ 気分の落ち込みや、何も楽しめない状態が2週間以上続く

こうしたときは、睡眠時無呼吸症候群や不眠症、うつなどの可能性もあります。かかりつけ医や睡眠外来、心療内科に相談してください。

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まとめ

  • 睡眠負債は、毎日の少しの寝不足がたまった状態。本人は「慣れた」と感じても、集中力は落ちていることがある
  • 週末の寝だめで返せるのは一部だけ。体内時計もずれて、月曜がつらくなる
  • 返すコツは、毎晩15〜30分早く寝る、休日も起きる時間を大きくずらさない、昼寝は午後早めに短く
  • 寝ても眠気が取れないときは、睡眠の病気やうつが隠れていることも。早めに相談を

参考にした資料

  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
  • Van Dongen HPA, et al. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep. 2003;26(2):117-126.
  • Depner CM, et al. Ad libitum weekend recovery sleep fails to prevent metabolic dysregulation during a repeating pattern of insufficient sleep and weekend recovery sleep. Current Biology. 2019;29(6):957-967.

※この記事は、一般的な情報をまとめたものです。診断や治療の代わりにはなりません。睡眠や体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

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